長期経営計画と経営理念の関係とは

ウエスタンコンサルティングでは経営理念=長期経営計画と考えています。一般的には経営理念と長期経営計画は別のものだと考えられていますが、ここではこれについて説明します。
 
 
 
-----経営理念が重要であると言われますが・・・-----
最近、多くの企業で経営理念の重要性が取り沙汰されています。様々な企業のホームページを見ると、そのほとんどに経営理念が盛り込まれています。標語のように短いものから、数行に渡る長いものまでいろいろなものが見られます。
 
経営理念とはなんでしょうか。
一般的には「企業の使命や目的、存在意義などを概念的にまとめたもの」とされているようです。経営理念を作成し導入した企業の経営者にインタビューしたところによると、その多くでは経営理念の浸透に苦労しているようです。なぜ経営理念が従業員に浸透しないのでしょうか。
ある経営者は「従業員は経営者とは違い、企業経営全般を考えられないから」だと言いますが、これは本当なのでしょうか。
 
 
 
-----なぜ経営理念が浸透しないのでしょうか-----
従業員が経営理念を理解しない理由を論理的に考えてみましょう。
現代の日本では、ほぼ全員が識字能力を有しています。ということは理念に書かれている文字が読めないことが理由にならないことは明白です。
それでは読めるのであれば、その意味が理解できるのでしょうか。
実はここに原因が潜んでいます。
従業員たちは、経営理念は読めるものの理解できていないのです。
もちろんこれは従業員たちの読解力が劣っているという問題ではありません。正確に言うと、経営理念に盛り込まれている言葉に問題があるのです。

経営理念を見てみると、その多くが概念的な言葉で表現されています。この概念的な言葉は人によってとらえ方が変わります。つまり、経営理念は読む人によって意味が変わってしまうところに大きな問題を抱えているのです。
例えば「お客様の幸せ」という表現はよく見られるものです。
「ここでいう『お客様』とは、どこまでを含むのでしょうか」と考えると、間違いなく経営者と従業員では違うものになります。経営者としては、当然全顧客はもちろんのこと、過去のお客様や将来のお客様までも含んで考えるでしょう。
しかし従業員は違います。中には「自分の担当先だけがお客様」と考えている人もいるでしょう。よく「従業員が外線電話を取らない」という愚痴を聞きますが、これはまさにその典型例だと思われます。
これは「お客様」という概念的な言葉の持つ意味を誤解していることが原因です。
であれば誤解を生じないようにするのが、浸透の方法となるでしょう。
 
 
 
-----企業の発展に繋がる経営理念の作り方とは-----
経営理念の浸透については別の機会に譲るとして、ここでは経営理念の作成について言及しましょう。
経営理念の目的を考えた場合、本来は企業を将来に向けて反映させるために作成するはずです。企業を将来に向けて反映させるためには、そこには会計の存在が不可欠となります。
つまり、経営理念を作成するときには、企業の将来像が数字面を含め明確に見えていなければならないということです。
しかし、経営理念を会計と結びつけて考える経営者はほとんどいないようです。そして経営理念は普遍的なものであり、将来に向けて半永久的に変わるものではないと考えられているようです。
何十年と連綿と続いてきている老舗企業であるならばまだしも、多くの中小企業を考えた場合、これは果たして適切なのでしょうか。
 
 
それでは本題に入りましょう。
冒頭でも書きましたが、ウエスタンコンサルティングでは経営理念=長期経営計画と考えています。今の時代、5年後の世界がどのようになっているかはほぼ予測不可能だと思われます。その状況下では、うまく見積もったところで5年先が予測できれば良いところでしょう。
そこで企業は長期経営計画を作成するのですが、問題はこれが経営理念とどのようにリンクするかだと考えます。
長期経営計画とは5年以上先を予測して計画を立てることとなります。ここまで先のことになると、正確な数値を用いて予測財務諸表を作成することはあまり意味がなくなります。これは社会情勢を含めた外部環境があまりにもドラスティックに変化するからです。そこで大まかな企業の方向性を定めることになりますが、これが企業の当面の目的であるならば、それを理念化して全社員に浸透することで、全社一丸となっての経営が可能となると考えます。
 
 
それでは経営理念は5年ごとに大きく変わることになるのかというと、実はそういうことでもないのです。
企業の使命や目的、存在意義というものは、それほど変わるものではありません。変化する部分は5年後に到達すべき姿だけです。ここを理念化することで、全社員が同じベクトルを向いて全能力を一点に集中することが可能となるのです。
 
これがウエスタンコンサルティングが提唱する企業発展への第一歩なのです。