その売上高の計上時期はいつなのでしょう


−−−どちらの年度の売上げでしょうか?−−−

簡単な問題ですので、ちょっと考えてみてください。

  A社は12月31日決算の会社です。
  01年12月28日に商品代金100万円をもらいました。
  しかしちょうどその商品を切らしており、入荷した
  のは02年1月4日でした。
  そこで02年1月4日にその商品をお客様に届けました。
  この商品の売上100万円を計上するのは01年度ですか、
  それとも02年度ですか?

会計を学んだことがある人であれば、おそらく02年度と答えることでしょう。
確かに02年度が正しいのですが、それではその理由まで回答できるでしょうか。


−−−すべてには理由があります。−−−

ある人は次のように答えることでしょう。
「会計の世界では、売上は実現主義で認識することになっているから」
またある人は、次のように答えるかもしれません。
「売上は出荷基準や引渡基準で認識するのが一般的だから」
会計の世界では、これで正解となります。
日商簿記や税理士・公認会計士試験では、このような基準について詳しく学ぶことになります。

それでは、次のようなケースはどうでしょう。
最近では良く見かけますが、ソフトウェアをダウンロード販売している会社があります。
しかしソフトウェアは実際に使ってみなければ、自分の考えていることができるかどうかが分かりません。
そこでまずはじめに試用版をダウンロードさせ、気に入ったならば代金をお支払いくださいという販売形態が出てきました。
それでは、このソフトウェアの売上計上時期はいつでしょうか。
代金を支払ってもらった時点でしょうか。それとも試用版をダウンロードした時点でしょうか。


−−−根拠がわかっていなければ、応用が利きません−−−

机上で会計を学んだだけであれば、このように新しい販売形態やサービスが出てきたときに対応できなくなります。
実は、売上計上時期は法律によって明確に定められているのです。
果たしてどの法律に定められているのでしょう。
法人税法でしょうか、それとも会社法でしょうか。
いいえ、これらの法律ではありません。
売上計上時期という規定があるわけではありませんが、民法という法律に定められているのです。
これさえ知っておけば、あらゆるケースに対応することが可能です。
しかし、これは日商簿記や税理士・公認会計士試験を学んでも習得することはできません。なぜならば、これらの学校では教えてくれないからです。

日商簿記や税理士・公認会計士試験で学ぶことができる会計は「財務会計」と呼ばれるものです。
「財務会計」とは「債権者保護のための会計」であり「企業の経営状況を第三者に報告するための会計」です。
一言で言うと「決算書を作成するための会計」といっても過言ではありません。


−−−会計を実学としてとらえた場合、全く別の学問となります−−−

経営者にとって会計は机上の空論では意味がありません。実際に経営に役立たせることができなければ、全く使い物にならないのです。売上計上時期の法的根拠をきちんと身につけて正しく利益を計上できるようにしなければ、わが社の経営成績の判断もできなくなってしまいます。